物理工学コースからのおしらせ


R04年度 物理工学 談話会開催について

物理工学ユニットでは、以下のように談話会を 対面形式で開催させて頂きます。


講師:赤松 大輔 氏(横浜国立大・准教授)

演題:原子分子光物理(AMO物理)の基礎物理への貢献-光時計を中心に

日時:9月26日(月)14:00~

場所:総合研究棟W202室

概要:
AMO物理は原子分子分光により量子力学を生み出し、その理論を常に実験的に検証することで量子電磁気学にまで昇華させた。 そして、その後の標準理論の礎を築いた。このように人類の知の最前線を押し広げる事に大いに貢献してきたAMO物理であるが、これはその超精密測定技術のおかげである。 近年開発された光格子時計や単一イオン時計により原子・イオンの遷移周波数を18桁の精度で調べることが可能である。 18桁の精度を持つ実験装置を使い、これまで同様に人類の知の最前線を広げようという研究が各国で行われている。 本講演では、イントロ的な話から始めて実際にどのような実験が行われているか、いくつかの実験をピックアップして紹介する。

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講師:吉村 浩司 氏(岡山大・教授)

演題:超精密「原子核時計」で探る基礎物理

日時:9月26日(月)16:00~

場所:総合研究棟W202室

概要:
数千種類ある原子核の中で、原子番号90の元素トリウム229のみがeV程度の特異に低い励起準位を持ち、コヒーレントなレーザー光による操作可能な唯一の原子核として注目されている。 原子核は、原子内電子の遮蔽により外場の影響を受けにくいためレーザーによる制御が可能になれば、最先端の原子時計を上回る精度の「原子核時計」が実現でき、それを用いた微細構造定数の恒常性の検証など基礎物理への応用も期待されている。 その利用には、実際に励起準位を観測してそのエネルギーをレーザー励起可能な精度で決定する必要がある。 30年以上にもわたりその励起準位の存在すら確認されていなかったが、2016年にドイツの実験グループが内部転換電子を用いて初めて観測して以来、これまで謎につつまれていた励起準位の解明が急速に進み、原子核のレーザー励起、そしてその先の原子核時計の実現が目前に迫りつつある。 本セミナーでは、最近の原子核時計研究の動向と今後の展望についてのべ、究極の原子核時計が実現された際の基礎物理への応用について解説する。

世話人:佐藤 丈